寝ているカノジョ
「悪い、俺、悠希の班の女子探してくる。
お前ら自由に回っといて」
俺は立ち上がって班のメンバーにそう言った。
「あたしたちも探そうか?」
女子の一人が心配そうに俺を見る。
「いや、大丈夫。
もし先生に出くわしたら、俺だけトイレ行ってるとか
適当にごまかしといて。
じゃ、頼むな」
*
俺は走った。
とにかく走った。
こんなに広くて、人も多い場所で
俺一人が走り回っても
見つかるわけないと
心のどこかではそう思っていたけど…。
「光!」
誰かが俺のことを呼び止めた。
「悠希!見つかったか?」
悠希と悠希の班の男子二人が、
息を切らしながらこちらへ走ってくる。
「ううん。っていうか、やばいかも」