寝ているカノジョ
「とにかく、隠れられそうなとこは
見て回ろう」
俺たちは二手に分かれて
また走り出した。
*
「はぁ、はぁ……
なぁ、光」
体力も限界がきて、
俺と悠希は息を切らしながら
人込みの中を歩いていた。
「何だよ…」
「仁奈ちゃんのことで…
色々ごめん」
俺は一瞬足を止めた。
そして、悠希の方をまじまじと見つめる。
「は?何が?」
「俺…仁奈ちゃんにふられてんのに
お前にあの子、とられたくなくて
色々しちゃったじゃん…?」
悠希は少しうつむいて、もじもじしながら
話していた。
「だから、ごめん」