P.S 母さん、愛しています。
拝啓、初めまして
『拝啓、前沢 千花 センセイ♡

私は高校一年生の女子でーす!

センセイの小説読みました!

とってもステキで憧れる内容でした!

特に、片思いだった男子が振り向いてくれるシーンが好き♡

あんな甘いセリフを言われたら、私ならその場で卒倒しちゃうかも!』



ブルーのインクで書かれたファンレターが舞い込んだ。



「わぁ……すっごく久しぶりに見た気がする……」



小説が本にならなくなって2年。
日々ギリギリの生活を送り続けている。


「嬉しいなぁ〜〜」


パンの耳をかじって水で飲み込む。


今日はまだマシな食事。

だって、これにお隣の人から頂いたキューリのお漬物があるから。



「荷物預かっといて良かった〜〜」


お財布の残金、全部使わずに済んだ。


私の夢が叶った代償は、今の極貧生活にある。


ガス、水道、電気、電話代。


全て基本料金設定。


昼間は大抵図書館へ行く。

トイレも無料のお茶も使い放題で飲み放題!

時々、短時間のバイトをこなして得る給料で、意外にも生活出来るから不思議だ。



「これも書籍化して得た印税のお陰です…」



支払い額の中で大半を占める住居費。

分譲マンションの中古物件を印税で購入した結果、それが共益費だけで収まってる。


固定資産税?

そんなもの1週間もバイトすれば支払える。

年払いできるよう、毎月決まったお金もプールしてる。



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