P.S 母さん、愛しています。
『前略、愛する我が子へ』



「何だこりゃ」


やはり作家よりもお笑いに転向しろよ…と勧めたくなった。

愚か者から届いたLINEの文字は、ちまちま…と流れてくる。


『ファンレターもらった』


『嬉しい』


『高校生の女の子』


『陽希と同い年』



「……それ俺だよ」



まんまと騙されてやがる。


「バッカたれ〜〜!」



思いついた悪どいことってコレ。

成りすまし大成功!ってやつだ。



「ザマーミロ!少しはプレッシャーを感じやがれ!」


鳴かず飛ばずでいつまで夢にしがみつくんだ。

お前はもうすぐ50歳になるんだろう?



「夢見る乙女やってんじゃねーよ!」



「……誰が?」



ぎっくぅぅぅぅ!!



「り、莉央……」


振り向くと幼馴染の顔がある。

童顔で、どう見ても中学1年にしか見えねぇ顔が。



「…誰でもねーよ!」


慌てて電源をオフった。


「あっやしー!何か隠してるでしょ!」


莉央のやつは案外と勘が鋭い。

これも長年の付き合いってやつか。



「何も隠してねーよ!気のせいだって!」


睨み続ける相手をムシする。


そんな近づくな。

また勘違いされるだろ。




「アッツいね〜!お二人さん!」

「いよっ!高校生夫婦っ!」



「違うって!」


同級生のからかいを直ぐに突っ撥ねる。

俺の隣にいる莉央は、そんなのを相手にもしない。

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