P.S 母さん、愛しています。
「言いたいヤツには言わせとけばいいよ」


サバサバした性格で、オトコにもオンナにも好かれてる。

どこか愚か者の母親を思わせる莉央を見ながら「お前は良くても俺はヤダ」と駄々をこねた。



「はー君はガキだ〜〜!」


きゃはははは…!と笑い声を上げる。

その背中を肩越しに眺め、ポケットの中で呟く母親のことを考える。



俺の出したからかい半分の手紙を間に受けたバカ者。

反省するどころか、逆に雄々しく生きようとしてる。




「どんだけ狂ってんだよ」


汚ねぇ言葉を吐くような俺になってしまったのは誰のせいだ。


母親か?

ばあちゃんか?

おいちゃんか?

猫のミーか?




「ちげーよな。アイツのせいだ」



たった数枚の写真でしか顔を知らねーヤツ。

忘れもしねぇ男の顔を思い出し、ジャリ…!と地面を蹴飛ばした。




「はー君!学校遅れるよぉ!」


数メートル先を歩く莉央が振り向く。


「お〜!」


返事だけしながらノロノロ進む。



俺には親なんて有ってナイようなもん。

母親も父親も戸籍上の名前だけの存在。



「ふんっ!どいつもこいつもカスだよ!」



イヤミな言葉を吐き続けて生きなきゃならなくなったのは10年前から。


家族が崩壊した日のことを俺は明確に記憶している。



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