P.S 母さん、愛しています。
俺の感情、どこへ持ってけば良かったんだ?


母親か?

親父か?

保育園の先生か?


2人以外に親なんていねーのに、コドモの俺が何ができるっつーんだよ。


ふざけんなよ。

カスだよ。

2人とも!!!





「…はー君の顔、おっかな〜〜い!」


遠目にいる莉央が声を上げた。

あの頃のことを考えると、無意識のうちに顔が固まるらしい。


「うっセーな!俺の顔は笑わねーとこうなんだよ!」


元からあんま笑ったりしねぇ。

それでも、あの頃よりは笑えるようになった方だ。



「はー君機嫌悪ぅ……。私、何もしてないのに〜〜!」


…ンなこたぁ知ってる。


お前も俺も悪くねぇ。

ついでに言うなら、母親だって被害者だ。


小説家なんてものになる前の母親は、バカが付くくらいクソ真面目な人間だった。


サービス残業になるのも覚悟の上で、ひたすら働き詰めてた。

クッタクタだった筈なのに、弱音の一つも吐かねーでいた。

親父との離婚調停で費やしたエネルギーが自分にはあるから、あの頃の疲労に比べたら何でも耐えれるって言ってた。


ど根性が親父とは違うんだよ!

会社でどれだけ窮地に立たされてたかもしれねーけど、もっと自重した生き方をすれば良かったじゃねーか!


逃げて何か変わったのかよ!

妻とコドモを泣かして、親戚中を掻き乱させて、あんたにいい事一つしかなかっただろーが!

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