P.S 母さん、愛しています。
息子よ、さよなら
私が陽希を身籠った時、あの人は凄く喜んで………


「体大事にしろよ!いい子を産んでくれ!」


輝くような笑顔を見せて微笑んだ。



でもーーーー


『人の気持ちなんて、一番宛てにならない』



画面に打ち込んだ主人公の言葉。

私は時々、自分の気持ちを入力する。


大人だって子供だって同じ。

人の気持ちほど不確かなものはない。


「そういう自分が一番いい加減なんだけどね…」


あはは…と画面に向かって笑う。

皮肉った言葉を書いた後、いつもやる癖。



「この手紙の子は素直で優しいな…」


この間ファンレターをくれた子から2通目の便りが届いた。



『前沢先生こんにちはー!

執筆活動頑張っていますか〜?』


前回と同じブルーのペンで書かれてある。


『私には今、好きな人がいます。幼馴染で、何でも相談し合える大切な人!』


青春時代真っしぐらの高校生。

陽希と同い年のその子の手紙は、まるで息子からのレターのようだ。



『告白するべきかどうか悩んでいます。

先生の話のように、彼がこっちを向いてくれないかな〜?』



「それは告らないと何ともね……」


手紙に向かって独り言。

片思いの間が幸せなんだってことを、この子はまだ知らない。



想いが伝われば確かに嬉しい。

でも、その後は色々と複雑。


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