P.S 母さん、愛しています。
特に私のように愛する人から裏切られてきた者にとっては、余計に相手の心は信じられない。

誰もが皆同じではないと言われたけど、結果はどうか知る由もない。



新しい恋も求めなかった。

再び恋を始めるのも恐ろしい。

だから、空想の中だけで始まる恋のロマンスが、なんて素晴らしく感じたことか!



「でも、頑張って。あなたにとって青春は一度きりだから」


『両思いになる』=『結婚』…というのはナシにしなさい。

あくまでも、その第一段階に進んだと考えるのが正しい。



「陽希もこの子と同じように片思いしてる相手がいるのかなぁ」


馴染みという文字で浮かんできたあの子。

コロコロとよく笑って、『おばちゃん』と私のことを呼んでいた。



「元気かな…」


今度、LINEで聞いてみよう。

2人仲良く並んだ姿を一度でいいから見てみたい。



「夢のまた夢……だけど」


さよなら、陽希。

私は母親をやめた女。

どんなにあなたを心配していても、二度と目の前には現れない。



だから、せめて文字の上でだけ知って。


母は生きてる。

母は頑張ってる。

この一瞬の点繋ぎを、今もコンコンと続けているんだ…と。


そして、いつか必ずまた、あの光の中へ戻ってみせる。

諦めたらそこで終わることを誰よりも一番実感してるから。



「だから陽希、君も頑張って!」


情けない親からのエール。

声にしか出せないけどね。

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