P.S 母さん、愛しています。
「あなたも頑張れ!想いを込めて相手に伝えてごらん」


手紙に向かって声をかけた。



「誰よりも一番、あなたのことが好きです!

私をあなたの一番にして下さい!…って」



私には言えなかった言葉。

プライドという名のどうしようもない強がりが生んだ結果。


もっとたくさん話しかけて、

もっと多くの時間を共に過ごしていたら。


「きっと、今の私はここに居なかった。でも、ちっとも後悔はしてない」


後悔するのは過去に未練を持っていた間だけ。

今の私には、『今、この一瞬』しかない。


毎日毎日、自分を追い込んで書く。


文字を埋める。

話を進める。



そして、出来上がった作品に、自分なりの評価をつけて公開する。

変わらないギリギリの生活の中で、まるで修行僧のような精神状態に追い込んで。


未来のない生活ぶりを嘆くこともなく。


今を生き抜くーーーー



「『生き抜く』って言葉好きだわー。いつか主人公に言わせてみよう」


メモ帳に貼り付け。

このセリフを言う主人公は、相当に気が強くなければならない。



「愛とか恋とかに無縁そう…」


呆れ笑いが溢れる。

でも、そんな子が恋をするのところも見てみたい。


「次の話はそれで行くか」


独身を誓った女性の話。

それなら幾らでも書けそうだ。


「よーし!書くぞーーっ!!」


ファンレターをくれた女の子。

あなたの幸せを心の底から祈ってる。


上手くいったら教えて。


そして、また是非、手紙をちょうだい。


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