P.S 母さん、愛しています。
死ぬなら勝手にあの世へ行けっ!

俺を先に切ったのはあんただろっ!!



「フンッ!」



ブチッと切ったスマホの電源。


うぜぇLINEは、これまでも相当回数拝んできた。



話が書けねー時の上得意。

書けだしたら絶対に送られてこねぇ。



「……でも、今回はマジヤバいのかもな」



母親の話は最近書籍化されなくなってる。

書いても鳴かず飛ばずで、八百屋に売られてるニンジンやゴボウと同じ扱い。



才能のあるヤツだけが生き残れる世界。


作家の世界も、スポーツの世界も、芸能界だっておんなじ。


持て囃されるのはごく一部で、一握りの人間だけだ。




「だから、あんあバカな行動とるなってばあちゃんからも言われたのに」



今更何を言っても遅いけどな。

母親は俺をばあちゃんに任せて、文字の世界に逃げてった。

そんで、そこで生きることを決意した。




「はー君のお母さんって、カッコイイ!」


マヌケなことを言ったのは隣の幼馴染の莉央(りお)

ゲームの主人公みたいだと、キャーキャー言って燥ぎまくった。


「私、はー君のお母さんが書く話が好きっ!主人公がとっても可愛くて、健気だけど強いのっ!憧れるぅ〜!」


本になった母親の話を掻い摘んで教えてくれたことがあった。


フワフワとした夢物語のどこがいいんだ…と、マジ吐きそうだった。


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