P.S 母さん、愛しています。
「レターセット持ってるか?」


隣の家に住む幼馴染の同級生がやって来た。


「持ってるよ。手紙でも書くの?」

「ああ。まぁな」

「おばちゃんに?」

「まさか!」


ハンッ!って鼻でせせら笑った。


「いいから持ってたらくれよ」

「タダで?」

「分かった。1週間宿題やってやる」

「ラッキー!じゃあいいよ!」


いそいそと部屋に上がって探す。



(もしかして、誰かにラブレター書くとか?)


ちらっとそんな気もした。


(だったらちょっとイタズラしてやれ!)


くくく……と笑いをこらえて仕掛ける。




「ハイどーぞ!お待たせ!」


パサっと手渡す封筒と便箋。


「ん……サンキュ」

「はー君」

「あん?」

「もう一度聞くけど、誰に書くの?」

「あーん⁉︎ 」


迷惑そーだなぁ。

……ってことは、相手はやっぱり………か。


「まぁもういい。聞かない。その代わり宿題やってね!」


親孝行の手伝いできるだけラッキーってとこ?

そう言えば、もう直ぐ『母の日』だ。


「やるよ。これとの物々交換にしちゃ負が大きいけど」


ブツブツ言いながら帰って行った。




「ウフフー!後がたのしみぃー!」


はー君に背中を向けてほくそ笑む。

おばちゃん、気づいてくれるかなぁ。


封筒の隅っこにコッソリ…貼った1枚のプリクラ。

入学式の日、はー君と無理矢理撮ったやつ。

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