P.S 母さん、愛しています。
『先生の本が1日も早く書店に並ぶのを待ってます!

最高傑作への近道は書き続けること!

応援してます。これからもずっと。

だから………』



「だから……ゼッタイに筆を折らないで下さい!……か。……はは…」



言われるまでもなく……よ。

ずっとそのつもりで書いてる。

ただ、書いても書いてもエンドレス。

打ち込む文字の全てが本にならないだけ。


何を書いても書き尽くされてる。

世の中には本は溢れるほどあって、それを読む人は減っている。


並べられてる本を手に取って買っていく人。

何を書いたら読んでくれる?

私が書けるジャンルは限られてるの。

だから、どうかそれを教えて下さい。



「読者に頼るのか、私………作家じゃないね………」



書くもの書くもの全て同じに思えてしまう。

書き上げた時は最高だと思っても、評価は全く変わらない。


応援してもらっているのに情けない。

子供を実家に残したまま、家を出てるのにこの始末。

報われない…ともがき苦しんでも、それでもやっぱり止めれない。


永遠に片思いで終わる恋みたいに、私の執筆活動は先が見えないんだ。



「こんなに応援してくれる子もいるのに………」


封筒を手に掴んでため息。

シワになってはいけないと慌てて置いてシワを伸ばした。



「ん…?」


微かな凸凹がある。


「何?ここ……何か貼ってる?」


封筒の口を開けて中身を覗き込む。


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