P.S 母さん、愛しています。
「捨てたんだ…………私は…………」



弱音を吐いて既読してくれる息子の優しさに甘えてた。

悪態ついた言葉で返されても、見捨てられてないことが嬉しかった。



「何もかも要らない…と、置いてきた筈なのに………」



何処か覚悟が足りなかった。


取り戻せるように、陽希とだけは繋がっていたい…と思ってた。



優しさに甘えているうちはダメだ。


私は、あの子の前でだけは輝いていたい。



送り出してくれた日と同じ笑顔が見たい。


悪態を吐く言葉を打ち込ませたくない。


あの子に励まされるなんて論外。


それだけは、絶対にさせては駄目だ。




「陽希………ごめんね…………」



違う意味で謝る。


そして、今度こそ誓うよ。




「死に物狂いで本を出す!!今度こそ、絶対に最高傑作を書いてやるからっ!!!」



これまでの弱気な発言は全て撤回。

今、この瞬間からやり直し。


新たな点を繋ぎを始める。


そして、あの子に本を届けるんだ!!




「…よしっ!やろうっ!!」



涙は閉じ込めて書こう!


私しか書けないものを!


私の感じる世界を!





光り輝く陶器の箱に手紙を片付けた。

プリクラを貼ってくれたのはきっと莉央ちゃん。

私のいない間、ずっと陽希の側で笑ってくれてたんだ。



「ありがとう。莉央ちゃん。おばちゃん、また頑張るからねっ!」


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