P.S 母さん、愛しています。
初めて話を書いたのは6年前のこと。

勤めてたヘルパーステーションで知り合った20代の同僚からサイトを教えてもらった。



「一昔前にスゴく流行ってたんです。私が中学生だった頃。今はもう大分下火なったけど、今でも読む人はいますよ〜!」


私も書いてるんですよ…と開いてくれた閲覧画面。


何百万という話で溢れ返ってるサイトを事細かに見て思った。



(私も書こう!現実では出来ない恋の話をサイトの中で花開かす!)




働きながらせっせと書き続けた話。


もう2度と味わいたくないと思った恋心に胸をときめかせて書いた作品は、思いがけず大賞を頂いた。



『書籍化決定っ!!』



卒倒しそうな絶頂感を味わいながら仕事を終えて帰った。


布団の中で安らかな眠りについてる我が子を見ながら、(これまでだ……)と決意した。





「自分のやりたいことをやるっ!私は作家として生きるっ!!」


「馬鹿も休み休み言いなさい」


呆れる母と弟に背中を向けた。


進学には十分過ぎる程の金額が記された貯金通帳を預けた。



「陽希……お母さんがいなくても負けないで!お母さんも負けないからっ!」


何があっても上を目指して生きて。

躓いても、絶対に立ち上がれ。


自分しか自分を守れないくらいの気持ちで、


今日を……


明日を……


今を……




「生きてねっ!」



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