魔神戦記 the MOVIE!
有機質の気配なら簡単に感知できるが、無機質の物体は探すのに苦労する。
「あれか?」
豪雨でグチャグチャになっている芝生を踏みながら、俺は工場から離れた位置に建っているコンクリート製の「いかにも」な建物に向かって行った。
『開発研究所
関係者以外立入禁止』
ご丁寧にどうも。
ここで間違い無いようだ。
ドアには厳重な電子ロックが掛けられている。
これは恐らく、変動型暗証番号入力タイプだ。
ある一定の周期ごとに暗証番号が変わるロックシステム。
「ここまでやるということは、開発者も危険性に気付いたか?
だが、俺に施錠は無意味だよ」
俺がロックに手を触れると、しばらく不規則な電子音が鳴り続け、やっと最後に物理的な動作音が聞こえた。
「最先端技術なんて、俺にかかれば所詮こんなモンだ」
ドアノブに手を掛けて回し、ゆっくりとドアを押して中に入った。