このままキミと朝まで愛し合いたい
好きがあふれてボカンと爆発した。
もう止まんない。
「えっ、お前何言ってんだよ?俺に言ってどうすんだよ?」
膝をギュッと抱えながら繰り返した。
想いが溢れ、言葉になってこぼれていく。
「好き…好きだよ…藤咲が、好き。」
「おい…夏川…?」
それまで微笑んでいた藤咲が、私の言葉で表情を消した。
「…私が好きなのは、藤咲だよ!」
全部吐き出したら、みるみる恥ずかしくなった。
私は、抱えた膝におでこをつけて小さくなる。
「い…言ったよ…それからどうしたらいい?恋には教科書も取り扱い説明書もないから、どうしたらいいかわかんないよ」
「どうって…
なんだよお前、そんなの決まってんじゃんか!」
藤咲は、私を引き寄せ 強く抱きしめた。
「取り消しを取り消す。もう一回言わせろ!
俺はお前が好きだ!」
藤咲の胸の中で聞く、二度目の「好き」
今度は、素直に泣いていい?
「ずっと好きだった。」
「…藤咲…。」
「夏川が好きだよ。」
「藤咲…。」
「きっとお前より、俺のほうが好きだ。」
「ふ~じ~さ~き~~~~~~…うえっ~んっ。」
「なんだよ、子供みてーに泣くんじゃねーよ。」
こんなに好きだったなんて。
声に出したら、もっともっと大好きになる。
「…なんでこんなに好きなんだろう。考えたって全然答えがでないよ。」
「知るか、頭でっかち。」
藤咲は、私の髪をくしゃっとしながら呟いた。
「ばあちゃんとの約束、これでも果たしたことになんのかな…。」
「…ん?」
「いや、なんでもない。」
私を抱きしめる腕に力が入る。
キュッとされると、涙がポロっとこぼれて落ちた。
「…あのさ、私、告白しちゃったから、藤咲は、私専属のなんでも屋さんを廃業しちゃうの?」
「いや…なんで?」
「まだ、たくさん教えてもらいたいことがあるから…私専属のなんでも屋さんに。」
「なんだよ?教えてやるから言ってみ?」
藤咲に抱きしめられると、こんなに泣きたくなるのはなんでだろう。
「…涙の止め方。」
藤咲の手が、そっと私の頬に触れる。
「…そんなの簡単だよ。目、閉じて。」
私は、ぎこちなく目を閉じた。
……あっ……。
藤崎の温かな温もりが、唇を伝って私の身体を覆っていく。
「大丈夫、泣きたくなったら、いつでもこうしてやるから」
私専属のなんでも屋さんは、ときどきウソをつく。
涙を止めてやるだなんて大ウソだ。
今よりもっと幸せで、どうにもならないくらい幸せで、涙が止まらなくなったじゃない。
「…ウソつき…。」
あなたは、おっきな白い八重歯を見せながら、いたずらに微笑んだ。
「好きだよ……」