私は、エレベーターで恋に落ちる
エレベーターで恋に落ちる
次の日、高い熱を出して会社を休んだ。
三日間、私は熱でうなされて起き上がることが出来なかった。
熱を出して休むなんて、記憶にないぐらい久しぶりだった。
屋上の寒さが半端じゃなくて、これが引き金になったのも事実だけれど、なかなか回復しなかったのは、心の傷が深かったからだ。
体中の力が抜けてしまって、何もしたくない。
何かをすることが、すごく無駄に思える。
実は、これからすることがことごとく失敗して、何もかも無駄なことに思えてしまう。
せっかく恋だと自覚したのに、これから気持ちが高ぶって、一番いい時期だっていうときに、相手はどこかに消えてなくなってしまった。
彼がどこにいて、何をしているのか全然わかっていない。
彼が知らせなかったということは、もう二度と会わなくてもいいっていうことだ。
私は、行き場のない思いに苦しんだ。
彼へのあてのない想いに、どうしていいのか分からない。
その苦しさの方がこたえた。
自分の身に何が起こったのだろう。
いったい、どうしちゃったの?
急激な心の変化に自分の気持ちがついて行けない。
この、痛みの原因を突き止めなければ、前に進めない気がするんだけど。
どれだけ見込みのない立場に置かれているのか、私は、全然わかっていなかった。
私は、彼に対して何もできない。
彼がどんな人で、どういう生活をしてきたのか全く知らない。
連絡先さえ知らないのだから。
状況が分かって来ると、余計に苦しみが増して、動けなくなった。