警備なおしごと
翔び立つ


警備にも、

新しい新人も無事配属され、

まだ山形には、冬が残っているが、

確実に春は来る。

だんだん、と警備の形も決まり。

少しずつ本番に向かう。

この仕事の、謂れなき

不可抗力の恐怖はまだ拭いきれてないが

、真面目に警備員を遂行し。


工場内外の人に、認めて頂けるよう、

これだけは他の会社とは、違う。

安心と信頼を売る。見て頂くしかない。

これからの季節、防災訓練が近々迫る。

暖かくなると、緊張感も緩みがち。


防災訓練は警備にとって一大イベント、

そう思っている警備員は、
何人いるだろう。

火災警報盤の位置、確認しましょう。

駐車場の警備、大丈夫です。

受付、まだまだ未熟です。

ただ
新しく警備室ができる頃には、

雪が溶けるように、この胸のもやもやも、不安も溶けるはず。


首都高3号渋谷線 三軒茶屋IC付近

すきかは、真央の元に向かってアウディを走らせていた。


東京 世田谷烏山 真央のアパート


「おーい。」


「はいよ。」

「迎えに来た。ぞ〜。」

「悪い、今引越し屋さん終わって、出るから。」

「うん、」

引越しの人が、伝票を持って来た。手際よく真央はサインを済ませた。


「さ、行くか?夕方には着く。運転、しようか?」


「え〜、寝れない。」

「失礼な奴だな。」

「へへ、いくよ!」

「ああ、行こ。」



アウディ.車上の二人。

東北自動車道 川口ジャンクション付近


真央には文彦の事は話した。

「よっぽど悩んだはずだけど、襲っちゃ何もならない 。」

「自分の欲求だけだ。解決する訳ない。すきかが相手じゃ、なお悪い。空手三段だもの。」

「分かってたんじゃ?」


「なにが?」

「いや、ぶちのめされたかった。」

「まさか?」

「それで、気が少しは晴れるし、諦めも着く。」

「逆なでしちゃったか〜。」

「いや、晴れ晴れだと思う。」

「…ぶぅ。少ない胸揉まれた …。」

「は〜、なるほど 大きくなったんじゃ?」

「真央ぉ、悔しがれ。」

「いや、大きくなったら感謝する。」

「なんて奴らだ。」

真央は運転しつつ、すきかの頭を肩に寄せて。

「よかったと、思う。」

「うん、」


晴れはしないが、すきかの頭の中でなにかが終わり、始まる気がした。


東北自動車道 福島西付近


一路山形へ、

まだまだ、真央の就職を探さないと。

すきかもまた、これからが困難。

平穏な日など、この時代には、ない。

だが、これだけは言える。確実に山形は春に向かい、

すきか達は前を向いて進んでいる。



完了。
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