今日から君の許嫁!!
「俺なら、藤野さんの異変にすぐ気づいたけどね」と、挑発的に鎌田くんが言った。

「その場にいなかったくせに。何、言ってんの」

二人はただ向き合って話しているだけなのにとてつもなく嫌な空気が流れている。

私のことを好きだという鎌田くんと許嫁の蓮。
この状況で言うべきことはこれしかないよね。

「私のためにけんかしないで!」

時間が止まったかのように感じた。
私の言葉によって二人が静かになった。
教室にいる他の生徒は自由におしゃべりをしているけれど、ここだけが時が止まったかのように静かになった。

「瑞穂ちゃん」

「藤野さん」
二人は私のほうを見て、同時に私の名前を呼んだ。

なぜ、呼ばれたのか分からずとりあえず、返事をする。
二人は怒っているようにも、呆れているようにも見えた。

そして、鎌田くんが何かを言いかけたときにチャイムがなった。

「あっ、チャイム」と、花音が言った。
鎌田くんは花音に言われて、自分の教室に帰っていき、蓮も自分の席に着いた。私も席に着く。担任が教室に入ってきて学級委員長が号令をかけた。
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