今日から君の許嫁!!
二人の様子の意味が分からなかったけど、まぁ、いっか。
なんてことはなく、二人のあの反応が気になって午前の授業はまったくといっていいほど頭に入ってこなかった。

もしかして、あの台詞はまずかったのかな。
でも、あれを言う場面は絶対あのときしかないし、これから先あんな場面が私にめぐってくるとは考えにくいから言うしかなかったし。どうすればよかったのかな。

なんて考えても終わってしまったことは変えられない。
そこは考えても仕方ない。

問題なのは蓮と鎌田くんの反応だよ。
蓮は呆れているような気がしたし、鎌田くんはなんだか哀しそうなそれでいて怒っているような。なんで、あんな顔するの。

授業中ずっと考えても結論は出ず、昼休みになって、花音に聞いてみることにした。

「花音、朝のことなんだけど」

「朝のこと?何かあったかな」と、花音はあくびをしながら言った。

これは授業中寝てたやつだ。

「あれだよ」
私は小声で言う。

「あー、あれね」
花音は伸びをして続けた。

「私のためにケンカしないでって、やつだ」

「もう、声に出して言わないで」

「瑞穂が言ってたことだよ」

「そうだけど」

朝のことを思い出すとよくこんな台詞が言えたものだ。
今になって恥ずかしくなってきた。

「それより、聞いてほしいことがあるんだけど」

「何? 」

「朝、なんで2人があんな反応をしたのか、なんだけど」

「私にわかるわけないじゃん」
予想を裏切る花音の返事。

花音ならわかると思ってたんだけど。

「ほら、あそこに珍しく女子に囲まれてない山本君がいるから、聞いてみたら」

花音が指さした方に目を向けると一人で席に座っている蓮がいた。
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