今日から君の許嫁!!
「それより、どうしたの」

渋っていてもしょうがない。聞かないと私のモヤモヤが消えないから。

「朝のことなんだけど、私の発言で何かこう、雰囲気? 空気? が悪くなった気がしたから」

「あそこであんなこと言うのは瑞穂ちゃんらしいよね」

「えっ」

私らしい。これは褒められているのですか。違うよね。どういう意味か分からない。これはもしかして。

「怒ってる? 」

「俺は瑞穂ちゃんのこと大好きだし、瑞穂ちゃんのことよく知ってるから怒ってはないよ」

笑顔で言う蓮。その笑顔が何だか怖いんだけど。しかも、「怒っては」って、「は」って。

「けど、あいつはどうだろうね」と言ったあと、「……って、なんで、俺ライバルのことなんか気にして」と呟いた。

「あいつって、鎌田くんのこと? 怒ってるの? どうしよう。てか、なんで。ねえ、なんで。ちょっとした出来心だったんだよ。よく漫画で見かけるから、試しに言ってみたかっただけなの。もしかして、自惚れし過ぎた?」

「それだよ」

ん?

「あいつは瑞穂ちゃんのことが好きなの。告白こそ、俺が阻止してやったけど、あいつの気持ちを瑞穂ちゃんは知ってる」

うん。だって、告白されそうになったから。蓮のせいでなかったけど。初の告白が。

「あいつは告白してないけど、瑞穂ちゃんがその気持ちを知っててそれを当たり前のように受け入れてる瑞穂ちゃんに」

「私に……怒ってる」

「なんで、俺があいつの気持ち代弁してるんだよ。そんなに気になるんだったら、後は本人にでも聞いたら」

「そうだね」

うん、そうするよ。
鎌田くんが怒ってるんじゃないかって、気にしてたから本人に聞く気になれなかったけど、蓮にそう言われたら、なんか聞く気になってきた。

蓮にだって、最終的には聞いてるんだしね。そうと決まれば早速聞いてこよう。鎌田くん、教室にいるかな。確か、五組だったよね。

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