今日から君の許嫁!!
結局、昼休みは蓮に対するモヤモヤが消えただけで鎌田くんにたいするモヤモヤは残ったままで午後の授業を受けることになった。もちろん、授業に集中なんてできなかった。

考えてみれば、って考えなくても分かることだけど今日一日一つも集中して授業受けてない。その原因は自分にあるんだけどなぁ。もし、この原因が自分じゃない他の誰かにあったらその人のせいにできるのに。

なんか、朝からずっとモヤモヤしていて一日損した気分。楽しみにしていた漫画の発売日の日にだってこんなに授業に集中できなかった日はないのに。せめて、授業が終わる六時間目のときにそわそわして気がそぞろになるくらいなのに。

鎌田くん、怒ってるのかな。この間知り合ったばかりだから、怒らせたとしたらやっぱり聞きにいくのは気まずい。その点においては蓮が一緒に行くって言ってくれたことは心強いかもしれない。本人には絶対言わないけど。

「瑞穂ちゃん」

「蓮? 」

「なんで、疑問形。もう授業終わったよ」

いつの間にか終わっていたみたい。全然気が付かなかった。

「もしかして、気づいてなかったの。ぼーっとしすぎ。そんなにあいつのこと考えてたんだ」

正解です、考えてました。

「もしかして、好きなの?」

「そ、んなわけないじゃん」
慌てて首を左右に振る。

心臓に悪い事聞かないで欲しい。

「じゃあ、俺のことは?」
真っすぐに目を見つめて聞いてくる。

何、この質問のコンボは。
いままで、こんなこと聞いてきたことなかったのに。なんて答えれば正解なの。

「嫌いじゃないけど」

「けど? 」

けど? 蓮のいじわる。

「早くしないと鎌田くんが帰ってしまうよ」

「そうだね」

あれ、素直に諦めた。もっと、粘ってくるかと思ったけど。

「後でもう一度聞くからね」
蓮はいたずらっ子のように笑った。

「ええー」

「ほら、聞きに行くんでしょ」

行くけども。

蓮に背中を押されながら鎌田くんのクラスに向かった。

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