今日から君の許嫁!!
「変に意識しちゃうから無理だよ」

「俺的には意識してほしいんだけどな」

いや、そうかもしれないけど。

そうだ、いいこと思いついた。いいアイデアだけどきっと否定されそうというか非難されそうだから鎌田くんの表情をうかがいながら提案する。

「蓮も」と言い、蓮の腕をつかむ。

「何」と言いたげな蓮をちらりと視界の端に映る。

「蓮も一緒に行ったらダメかな」

言った、言ったよ。

私のことを好きだという相手にデートの誘いを受けたというのに、そのデートに
許嫁を誘うなんて馬鹿げたことを提案してやったよ。本当に自分がバカなことを言っていることはわかっている。これこそ、蓮が言っていた「もてあそばれている」に当てはまるよ。

ごめんなさい、鎌田くん。こんな私を好きになんてなってくれなくていいから。というか、なんで私のこと好きなんだろう。クラスも違うし会ったこともないしどうして。正式に告白されていないのにわかるわけない。

なんてことを考えながら、どうせ断られるだろうとそんな現実から目をそらそうと物理的に目をつむっていると聞こえてきたのは想像とは反対の答えだった。

「いいよ」
なんてあっさりした答えだった。拍子抜けした。
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