今日から君の許嫁!!
時刻は八時十分前、つまり七時五十分。駅に着いたときには鎌田くんの姿はなかった。

よかった、まだ来てないみたい。

「藤野さん」
後ろから声がした。

振り返ってみると立っていたのは鎌田くんだった。

もしかして、私より先に来ていたのかな。ぜんぜん気づかなかった。それよりも後ろからなんて心臓に悪い。

学校でしか会ったことがないから初めて鎌田くんの私服を見た。
男の人のファッション事情は詳しくないけど、かっこよかった。とにかく、かっこいい。

イケメンは蓮で見慣れていると思っていたのに、鎌田くんは蓮とは違う種類のイケメンで、チャラくなくてどちらかというと爽やかな印象を彼の服装からも受けた。

「おはよう」という声もかっこよくて頭上に広がる青空も手伝ってきらきらなオーラを漂わせる鎌田くんに見とれていた。

さっきから「かっこいい」を繰り返しているのは鎌田くんの容姿のよさに語彙力が追いついていないからだ。

鎌田くんのかっこよさを堪能して「おはよう」と返した。

あまりのかっこよさに「鎌田くん、かっこいいよ……」とこぼした。

「惚れた?」

はい、惚れました。

素直に頷くと鎌田くんは嬉しそうに笑った。

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