今日から君の許嫁!!
今さらだけど、と鎌田くんが言った。

「藤野さんって絶叫系大丈夫?」

「平気だよ。そうじゃなかったら普通来ないでしょ」

「確かに」と鎌田くんは笑った。

「男子から見て絶叫系苦手な女の子の方が可愛いとか思うの」

「人によるんじゃないかな。でも、俺は藤野さんが絶叫系苦手じゃなくてよかったよ。今日、一緒に来れたのはそのおかげだからね」

ああ、笑顔が眩しい。こんなふうに一々ドキドキして今日一日持つのかな。鎌田くんのキラキラにやられないかな。

「まぁ、俺は遊園地じゃなくても藤野さんと一緒だったらどこでもいいんだけどね」

ほら、早速きたよ。爆弾発言。

「遊園地でいいです……」

「なら、よかった」

鎌田くんのキラキラにやられているうちに十分経ったようで私たちの番がきた。スタッフの人に案内されてジェットコースターに乗り込んだ。安全バーを下ろすと、心の準備をする間もなくトロッコは坂を上っていく。

そう言えば、鎌田くん結構きわどい発言、もとい蓮のセンサーに引っかかりそうな発言をしていたけど、一回も蓮が絡んでこなかったな。珍しく静かだなぁ。一応にもダブルデートだから気を遣ってくれたのかな。

なんて考えているうちにトロッコは頂上に来ていた。きれいな景色だと感動する間もなくトロッコはスピードを上げ、レールに沿って落ちる。

「きゃーーー」
ひたすら叫ぶ。声を出すと少し恐怖がまぎれるとどこかで聞いたことがある。嫌いじゃないけどやっぱり怖いよー。

内臓が浮くような気持ちの悪い感覚をどうすることもできず、安全バーを握った。
体感では長い様に感じられたのは実際のところ数分で終了した。スタッフの人に「おかえりなさい」に促されるままトロッコから降りた。

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