今日から君の許嫁!!
向かい合わせの座席の片側に座る。
次に乗り込んできたのは鎌田くん。ではなく、私の前に座ったのは。


「蓮だ」
呆けた声が出た。


「うん。俺だよ」と、蓮が言う。


「どうして、鎌田くんは? 」


観覧車はゆっくりと回り続ける。
次に花音と一緒に乗っているのかと下を見ると二人の姿は見えなかった。


もしかして、二人は観覧車乗らなかったのか。


「俺よりあいつの方がよかった? 」


そんなことない。むしろ、鎌田くんとの二人きりを避けられたからよかった。
蓮とのほうが緊張しなくて済むし。


ううん、と首を横に振ると蓮は嬉しそうに笑った。


「そっか、よかった」


何、その嬉しそうな顔。反則だよ。


「瑞穂ちゃん」
蓮の声しか聞こえない。


「何」


「そっち、行ってもいい? 」
蓮は私の隣を指さした。
私が頷くと、蓮はそっと私の隣に移動した。


ち、近い。
蓮との距離は十センチメートル。
もっと、隣空いてるのになんでこんなに近いのよ。
前言撤回。蓮との方が緊張するよー。
ちょっと動かせば手が触れてしまいそうな距離。
こんなに近くに蓮がいるなんて初めてかもしれない。家での食事のときだって、もう少し離れている。

< 137 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop