今日から君の許嫁!!
心臓の鼓動が早くなる。


なに、このどきどき。こんなの知らない。


一度、意識してしまうともう止められない。左手に重みが加わる。目をやると蓮の手が重なっていた。蓮の体温が伝わってくる。外の景色なんて気にしていられない。


「瑞穂ちゃん、こっち向いて」
蓮の声がいつも以上に近かった。


重ねられた手が私の手を握った。驚いて、蓮の顔を見る。
蓮の顔が思ったより近くにあって。瞬きをすると目の前に蓮の顔があった。
唇に触れるやさしさを感じた。


え、私。今、キスされた。
蓮にキスされたの。


突然のことで頭が回らない。顔が熱い。


なんで、なんで、なんで。
「れ、蓮。今、なんで、キス」


「俺さ、今日一日結構我慢したと思わない? あいつと瑞穂ちゃんのデート邪魔しなかったでしょ。けど、もう限界だった。可愛い瑞穂ちゃん見てたらキスしたくなっちゃった」


確かに今日の蓮はおかしいくらいに静かだったけど。
てか、可愛いからキス? 意味が分からない。いつも可愛いって言ってくるのは単なる蓮にとって挨拶みたいなものなんじゃないの。それなのに。どうしてキスしたいにつながるのよ。


「ばか、意味わかんない」


「嫌、だった? 」


「別に、嫌じゃ」
って、何言ってんの私。


「嫌じゃなかったなら、もう一回する? 」


「ばかー」


ちょうど、観覧車が地上についたときだったから、蓮を押しのけて逃げるように降りた。
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