今日から君の許嫁!!
「な、なんでもない」


言えないよ。観覧車で蓮にキスされたこと思い出して照れてるなんて。


「観覧車も乗ったことだし、帰ろっか」
花音の言葉で私たちは家路についた。


帰り道、まともに蓮の顔を見れない私は花音とばかり話していた。


「そういえば、瑞穂。知ってる? 二人が乗った観覧車、頂上でキスした二人は結ばれるっていうジンクスがあるんだって」


「なに、それ」
そんなのあるんだ。


「こないだ、ネットで見たんだけどねー」


「へー、知らなかった」


知らなかった。蓮はこのこと知っていたのかな。知っててキス、してきたのかな。


「瑞穂?どうかしたの?」
花音が不思議そうに聞いてくる声が遠くから聞こえていた。


気付いたら私は家に着いていた。


帰りは蓮と一緒に帰ったんだ。鎌田くんが送るって言ってくれたけど、蓮が「俺、瑞穂ちゃん送っていくね」と言って。なんだよ。朝は別々だったのに。帰りは一緒に帰るんだ。ちょっと、うれしかった。


ぼーっとしたまま食事が終わってお風呂も済ませて、ベットに寝転がった。
そっと、唇に触れる。


「き、す」


観覧車の頂上でキスした二人は結ばれる。
花音が言っていたことが頭をめぐる。


蓮がこのことを知っていたら。知っていたとしたら、蓮は私のこと――。
あーもう。なんでこんなにモヤモヤするの。


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