今日から君の許嫁!!
たまに問題に詰まると横からヒントを出してくれるからすらすら解くことができた。

「英語専とか言っといて、数学もできるんだね」

「それ言ったの俺じゃないし。数学もできるっていったよね」

「ごめんって。怒ってる? 」

問題を解く手を止めて蓮を見る。

「別に」

それはよかった。問題に再度向き合う。

「俺かあいつ。どっちに勉強教わりたいって聞いたとき瑞穂ちゃん迷ってたから。瑞穂ちゃんの中で俺はあいつと同等なのかと思うとむかついた」

「むかついた、え、怒ってるじゃん」

問題は解けなかった。

「怒ってるのベクトルが違うから。さっきの質問に対しては怒ってないよ」

結論、怒ってるに変わりはないから。

「だったら、私だって怒ってるよ。放課後勉強できなかったの蓮のせいなんだからね」

「なんで、俺のせいなの」

「だって、んー、間接的には蓮のせいだよ。そのせいで私鎌田くんにキスされ――」

そこまで言ってとっさに口を手で覆った。

これは言わない方がよかった。聞こえてたよね。

「瑞穂ちゃん、あいつにキスされたの」

低い声が聞こえた。

本能的に逃げるように部屋の隅にあるベッドまで駆けようとしたが、蓮に腕を掴まれた。

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