今日から君の許嫁!!
「よし、ライバルが一人減った」

「何、ライバルって」

「なんでもなーい」

カバンありがとう、と蓮から荷物を受け取る。蓮はそばにある机に座った。

「帰らないの? 」

「瑞穂ちゃんさ、あいつのこと好きだった? 」

「鎌田くん? 」

「あいつに嫌われたくなさそうだったから」

「友だちに嫌われたら嫌じゃん」

「友だちね。あいつは瑞穂ちゃんのこと友だちとは思ってないみたいだけど」

なんで、そんなこと言うの。私が鎌田くんのこと好きになるわけないのに。

「蓮だって、最近花音と仲いいよね。花音、蓮のこと嫌ってたのに。もしかして、花音蓮のこと好きになってたり。私そんなこと聞いてない」

「絶対ない」

花音から信頼されていないのではとおろおろしているときっぱりと否定された。

「じゃあ、蓮が花音のこと」

「それもない。だって、俺瑞穂ちゃんしか興味ないから」

「私はそんなんでほだされないんだから」
捨て台詞のように言って、一人教室を出た。

私の早歩きはすぐに追いつかれた。諦めてスピードを落とすと、手を握られた。
男の、蓮の体温に心拍数が上昇する。握られた手を一瞥し、蓮の顔を見る。

「何」

「瑞穂ちゃんが逃げないように」
なぜか嬉しそうに言った。

「あと、さっきの嘘じゃないから」と耳元でささやかれる。

握られた手と耳元に残る蓮の声でどきどきが止まらなかった。
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