今日から君の許嫁!!
「もう、そんな不機嫌な顔しないで。せっかくの可愛い顔が台無しだよ」
ぽん、と頭を撫でられた。

さっきまで美少女と会っていたくせにと思うけど、「可愛い」と言われて機嫌を治してしまう自分がいた。

「あ、瑞穂ちゃん。俺のシャンプー使ったの」

「え」

「瑞穂ちゃんから俺の匂いがする」と嬉しそうに私の髪の香りをかいだ。

考え事していたから間違えて蓮のシャンプーを使ってしまったのかもしれない。

「間違えて使ったのかも。気づかなかった」

「じゃあ、俺は瑞穂ちゃんのシャンプー使っていい? 」

「なぜ」

「いつでも瑞穂ちゃんを感じられるでしょ」

「変態」と言い放って、蓮の部屋を出た。

あれ、つまりは私の髪から蓮の匂いがするってことだよね。

髪に触れると、蓮と同じ匂いがした。ぎゅっと胸が締め付けられる。

「私も変態じゃん」
そう呟いて、廊下に座り込んだ。
< 158 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop