今日から君の許嫁!!
その日の夜。
蓮の部屋に突撃して、前置きもなしに聞いた。

「サラちゃんと付き合ってるの? 」

「なんで、瑞穂ちゃん」
蓮からサラちゃんと付き合ったことを聞いたわけではないから驚いた様子だ。

「噂になってるよ」

「俺、誰にも言ってないのに。あー、サラが言いふらしたのか」

「何でもいいから。答えて」

「付き合ってるよ。一週間限定で」

「一週間? 」

「サラに告白されたけど、俺は瑞穂ちゃんがいるしって断ったんだよ」

私がいるって。期待させること言うな。どうせ、許嫁のことなんだから。

自分で否定するけど、少しだけ体温が上がる。

「そしたら、一週間だけ付き合ってって言われて。サラはすぐアメリカ帰るからその後は諦めるって。一応幼なじみの頼みだし断れなかったんだよね」

黙ってて、ごめん。蓮はそう言って、腕を広げた。

「瑞穂ちゃん、おいで」

その言葉に抗えなくて、蓮のもとに飛びつくと、ぎゅってされる。
彼女のこと好きなのかという不安は消えて行った。

「なんだか、瑞穂ちゃんといるの久しぶりな気がする」

「サラちゃんとキス、したの? 」

「一回、だけ」
目をそらして蓮が答える。

私は背伸びして蓮にキスした。

「上書き」とそっけなく言う。
自分でしたくせに急に恥ずかしくなって、俯いた。

「瑞穂ちゃん、もっかい」と蓮が調子に乗るから「ばか」と返した。
< 164 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop