今日から君の許嫁!!
祭りは神社で行われる。
花火は神社の近くにある
公園のような広場のような
とにかく広い敷地内で上げられる。
神社の境内には
幾つもの屋台が並んでいる。
同時に大勢の人も
屋台に並んでいる。
花火が始まるまでには
まだ時間があるので
花火見物客は屋台の食べ物など
を回っている。
この街にこんなに多くの人が
住んでいたのかと思うくらい
多くの人で溢れかえっている。
私と蓮はただ
人の波に流されながら歩いている。
「何か食べる?」
蓮が私の方に顔を向けた。
周りからは祭りの音が聞こえてくる。
「うん、クレープ♪」
祭りに来たら必ずといっていいほど
食べるものがある。
それがクレープ。
「クレープ?」
蓮は聞き返す。
「うん。
祭りに来たら絶対食べるんだ」
私は上機嫌で答えた。
横を見るとちょうど
ピンク色ののれんを下げた
クレープ屋があった。
「あ、あそこ行こっ!」
私の頭はクレープに支配されて
男子と祭りに来ていることを
忘れていた。
右手で蓮の左腕を掴んで
クレープの列に並んだ。
「瑞穂ちゃん、
クレープ好きなんだ」
蓮の声で我に返る。
カァ。
顔が紅く染まる。
「ご、ごめん。
はしゃぎすぎた……」
「全然、そっちの方がいいよ」
直ぐに私たちの番が来た。