今日から君の許嫁!!

祭りは神社で行われる。


花火は神社の近くにある

公園のような広場のような

とにかく広い敷地内で上げられる。


神社の境内には

幾つもの屋台が並んでいる。


同時に大勢の人も

屋台に並んでいる。


花火が始まるまでには

まだ時間があるので

花火見物客は屋台の食べ物など

を回っている。


この街にこんなに多くの人が

住んでいたのかと思うくらい

多くの人で溢れかえっている。


私と蓮はただ

人の波に流されながら歩いている。


「何か食べる?」


蓮が私の方に顔を向けた。


周りからは祭りの音が聞こえてくる。


「うん、クレープ♪」


祭りに来たら必ずといっていいほど

食べるものがある。


それがクレープ。


「クレープ?」


蓮は聞き返す。


「うん。

 祭りに来たら絶対食べるんだ」


私は上機嫌で答えた。


横を見るとちょうど

ピンク色ののれんを下げた

クレープ屋があった。


「あ、あそこ行こっ!」


私の頭はクレープに支配されて

男子と祭りに来ていることを

忘れていた。


右手で蓮の左腕を掴んで

クレープの列に並んだ。


「瑞穂ちゃん、

 クレープ好きなんだ」


蓮の声で我に返る。


カァ。


顔が紅く染まる。


「ご、ごめん。

 はしゃぎすぎた……」


「全然、そっちの方がいいよ」


直ぐに私たちの番が来た。




< 25 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop