今日から君の許嫁!!
ドーーン!
最後の花火が上がり、
夏の夜空から花が消えた。
花火見物客はぞろぞろと
移動し始める。
「俺たちもそろそろ
帰ろっか、って瑞穂ちゃん
顔紅いけど、大丈夫?」
「えっ、うそっ」
「ほんと。
どうしたの?」
蓮が心配そうな顔で
私のほうを見てくるから
黙っているのはいけないかな
と思って言った。
「……男子と花火とか……
初めてなんだよっ……」
「やっぱ、瑞穂ちゃん
可愛い」
さっき聞こえた独り言とは
違う感じで蓮は言った。
やっぱり、チャラい。
私はそう思った。
なんとなく、空を見上げた。
いつの間にか雲に隠れていた
星や月が顔を出していた。