今日から君の許嫁!!
「ちょっと、どこまで行くの?」
私が聞くと蓮は歩みを止めた。
蓮に連れてこられたのは
人目の少ない渡り廊下だった。
今は文化祭の最中。
ほかの生徒たちの騒ぐ声が
聞こえてくる。
「さっき、私告られそうだったのに、
なんで邪魔するのよ」
すると、蓮は掴んでいた私の腕を
放して言った。
「許嫁である俺の許可なしに
告るとか駄目でしょ」
「初めての告白だったのに~~。」
「えー、瑞穂ちゃん
今まで告白されたことないんだ」
「そーだけど」
どーせ、私はモテませんよ。
何回も告られるイケメンには
わかんないよ。
「かわいそ」
「何、私が!?」
いくらイケメンだからって
それはないでしょ。
酷すぎたよ。
「違うよ」
蓮は慌てて否定した。
「瑞穂ちゃんの魅力に
気が付かない男子がだよ。
そいつら、人生半分損してるね。
瑞穂ちゃんの可愛さに
気付かないなんて」
っ!!
なになになに!?
そんなこと真面目な顔、声で
言わないでよ。
本当に蓮だよね。
いつも言ってる「可愛い」
と違うじゃん。
冗談ぽくないから照れるよ。
私は照れを隠すために
声を荒げて言った。
「お世辞はいいよっ。
じゃあ、私先戻るねっ」
蓮に背を向け歩いていく。
「お世辞じゃないよ、
瑞穂ちゃん」
蓮が一人呟いたのが聞こえた。
私は
蓮の言葉をかき消そうと
頭を左右に振った。