今日から君の許嫁!!

各団の団長さんの宣誓で

体育祭は始まった。


中学校とは違う高校の体育祭の

盛り上がりように

驚いた。


声のそろった応援が

運動場全体に響き渡る。


私も応援に参加しようと

テントを出て、

団の人たちが集まっている

ところに行こうとした。


わたしの視界に

入ってきたのは

一番会いたくない人だった。


「あっ、藤野さん……」


昨日私に告ろうとしてきた人だった。


思い切り目があってしまった。


さすがに無視してそのまま

行くことは出来ないよね。


「あの、昨日は

 勝手にいなくなってしまって

 ごめんなさい」


「いいよ、気にしなくて。

 藤野さん許嫁いたんだね。

 知らなかったよ」

 
「うん、そうなんだ……」


「あっ、俺は鎌田旭輝カマタアサヒ。

 ごめんね、自己紹介遅れて。

 俺は5組だから、

 今はライバルだね」


鎌田君は笑って言った。


よかった。


微妙な空気にならなくて。


鎌田君かぁ。


見た目はなかなか格好いい。


蓮ほどじゃないけど。


「じゃあね」


そう言って鎌田君は

私の横を通って行く。


「俺はまだ諦めてないから」


鎌田君は私の横を通り過ぎるとき

耳元でこう言った。


っ!!


えっ、嘘でしょう!?


そんなことを思ったが

心臓はドキドキしていた。


鎌田君の声が耳元に!


きゃーー!


しばらく、

ドキドキはおさまらなかった。



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