今日から君の許嫁!!
気をつけて帰ってね、
と先生に言われて
私たちは保健室を出た。
花音とは昇降口で
別れて、私と蓮は
家まで歩いた。
9月でもこの時間は
まだ明るくて
西の空から夕日が
私たちを照らして
長い影をつくっている。
「瑞穂ちゃん、ごめん」
唐突に蓮は言った。
「えっ」
何がごめんなんだろう。
「俺がもっと早く瑞穂ちゃんの
不調に気づいていたら……
俺が隣にいたのに……」
その声はまるで自分、
蓮自身に言い聞かせている
ように聞こえた。