対象外でも恋咲く
光司に振られて、お先真っ暗となっていた紗和は自分の未来を知ることが怖かった。

たった一人で老いていくのではないかと。


「あなたの未来がどうなるかとハッキリとは教えてあげられないけど、これだけはハッキリ言えるわ。あなたはまた恋をする」


「ほー」


占い師に同意するかのように白ふくろうが鳴く。

紗和を白ふくろうを見て、「また恋を?」と呟いた。


「そう。同じ職場に勤めるイケメンに恋をするわよ」


「イケメン? 私、顔の良い男は胡散臭い気がして、嫌いなんですけど」


「外見で決めつけてはダメ。今までと違う目で見たら、見えなかったものが見えてくるものなのよ。がんばりなさい」


「ほー」


紗和もまた占い師と白ふくろうに励まされて、『春子の部屋』を出る。

そして、同じ職場にいるイケメンと言われる男を思い浮かべる。

紗和は弘人と営業部の営業1課に勤めていた。そこにいる二人のイケメンを思い浮かべたが、一人は弘人だった。

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