対象外でも恋咲く
彼もまたイケメンと呼ばれる部類の人間だったが、かわいい系の弘人とは違い、キリッとして、どことなくクールな印象を漂わせる人物である。

イケメンということで、紗和の恋愛対象からは外れてはいたが……


「あらあらー。まあ、二人お似合いね!」


占い師が意味深な言葉を固まっている紗和に掛けた。


「そうそう、お姉さん。今度の恋は実るわよ」


「えっ?」


紗和は占い師と目の前の男性を見比べた。まさか相手はこの人?


「菊池さん、よい結果が出たようで、何よりだね」


「はあ……。あ、谷内田さんも占ってもらうんですよね? どうぞ」


紗和は立ち上がって、自分の座っていた席を空ける。



「あら、大丈夫よ。イケメンなお兄さんの恋も実るわ。だから、とりあえず二人でバーでも行って飲みなさいよ。今日はこれで店じまいなの。はい、二人とも楽しんでね!」


「ホー」


占い師は二人を追い出して、もう一度水晶玉を見た。そこには、白いウェディングドレスを着た紗和と先程現れた谷内田が映っていた。


「今日はとても良い日よねー」
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