対象外でも恋咲く
紗和は弘人が持っていた青色のファイルを指差す。そのファイルは紗和がグループリーダーに頼まれていたものだった。
紗和は頼まれてすぐ資料室に行こうとしてフロアを出たが、そこで総務部にいる同期に出会ってしまい、10分ほど話し込んでしまった。
その紗和の様子をグループリーダーが見て、弘人に伝えていた。弘人は責任感のある紗和が放置することはないと分かってはいたけれど、急ぎだからと頼まれて動いた。
リーダーが短気なので、穏便に事を済ませようと考えての行動であった。
「うん。ほら、あの人さ、少しうるさいからね。まだ一昨年の分は出していないから、あとは菊地さんに頼むよ。俺は企画課に行く用事があるから、よろしく」
弘人は、最初に頼まれた紗和がやるのが一番適切だと判断して、持っていたファイルを託す。
「はい。ありがとうございます」
紗和は爽やかな笑顔で出ていく弘人を見て、良さそうな人ほど何を考えているか分からない……とお礼は言ったものの素直に好意を受け取ってはいなかった。
紗和は頼まれてすぐ資料室に行こうとしてフロアを出たが、そこで総務部にいる同期に出会ってしまい、10分ほど話し込んでしまった。
その紗和の様子をグループリーダーが見て、弘人に伝えていた。弘人は責任感のある紗和が放置することはないと分かってはいたけれど、急ぎだからと頼まれて動いた。
リーダーが短気なので、穏便に事を済ませようと考えての行動であった。
「うん。ほら、あの人さ、少しうるさいからね。まだ一昨年の分は出していないから、あとは菊地さんに頼むよ。俺は企画課に行く用事があるから、よろしく」
弘人は、最初に頼まれた紗和がやるのが一番適切だと判断して、持っていたファイルを託す。
「はい。ありがとうございます」
紗和は爽やかな笑顔で出ていく弘人を見て、良さそうな人ほど何を考えているか分からない……とお礼は言ったものの素直に好意を受け取ってはいなかった。