対象外でも恋咲く
工場が稼動する時間になり、弘人と紗和は副工場長に引率されて、工場内を歩く。

弘人は目を輝かせて、気になることがあればどんどん質問していた。紗和はそんな弘人を見ながら、弘人に任せておけば立派なレポートが出来そうだと思った。

それでも、基本真面目な紗和はしっかりとメモを取る。レポートは、それぞれ提出をしないといけないことになっていることもあるが。


「それじゃあ、ちょっとやってみる?」


「はい! ぜひやらせてください! お願いします」


「プッ、クスッ」


見学するだけではなく、実際にやらせてもらえることになり、弘人は意気揚々とした。威勢の良い返事をする弘人を見て、紗和は笑う。


「菊池さん、何で笑う?」


「だって、本当に嬉しそうなんですもの。おもちゃをもらった子供みたい」


「バカにしてる?」


「いえいえ、そんなー、バカになんてしてないですよ」


紗和は言葉では否定するもののニヤニヤ笑いが止まらなかった。
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