対象外でも恋咲く
紗和は弘人から自分への評価を聞かされると思っていなく、唖然とした。


「でも、それって便利だというだけじゃなくて?」


評判がいいと言われてもそこに自分ではなくてはいけないという存在価値があるように思えなかった。ようはただの便利屋なんじゃないかと…。


「えっ? 違うよ。俺の伝え方が悪かったかな。便利だから必要だというんじゃなくて、菊池さんだから必要なんだよ。うちの課だけでなく、得意先からも菊池さんだからと言われているんだよ。…んー、これも説明不足になるかな? なんて言ったら……」


「プッ! いえ、十分です。小沢さんが言いたいことはちゃんと伝わりましたよ」


「ほんとに?」


紗和は焦って説明をする弘人がおかしくなって笑う。

弘人は笑う紗和を見て照れるように頭を掻いた。

今までクールとまではいかないが、何事においても物怖じしないで過ごしてきた弘人だったので、焦る姿を見せることはなかった。

紗和はそんな貴重な弘人を見たのは初めてで、親近感が持てる気がした。
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