対象外でも恋咲く

お互いがお互いの知らない面を見て、驚きながらもそれにたいしての嫌悪感などなく、むしろ好感触といったところ。

身近で仕事をしていて、今までももっとお互いを知る機会はあったはずなのに、知らなかったのは頑なに興味を持たないようにしていたからだろう。

でも、そうしていたからこそ今日は知らない一面が新鮮に見えるのかもしれない。


次に行った工場では違う商品を生産していたが、そこでも弘人は目を輝かせた。しかし、そこでは実際に作業をさせてもらえなかったので、最後にテンションは下がった。


「そんなに落ち込まないでくださいよ。まだチャンスはきっとありますよ」


今度は駅から工場まで歩いていける距離ではなかったので、二人はタクシーを利用して、その帰りに紗和は暗くなっていた弘人を励ました。


「よし！悔しいから、あの商品を大々的に売れるよう次のミーティングで提案しよう」


「えっ？ なんでそっちに持っていくんですか？」