対象外でも恋咲く
瞳は、残業が課長から指示された業務のせいだということを言い当てられてしまい、課長を庇うように残業なのは自分の意思だと伝える。

現に課長は残ってまでやれとは言っていない。期限まで余裕があるのも事実だ。


「全く高畠さんはお人好しですよね。どのくらいやる予定ですか?」


「えーと、7時くらいまでやろうかなと思っている。ね、そんなに遅くまで残らないから大丈夫だよ」


瞳はなぜか怒られている気分になり、弘人の顔色を窺う。


「俺も同じくらいに終わらせる予定なので、一緒に夕飯食べません?」


「えっ? 一緒に?」


「はい、あそこのラーメン屋に行きましょうよ。この前行けなかったし」


「ああ、そうね。うん、行こうか」


瞳は弘人とラーメン屋に行こうと話していたことを思い出す。二週間前に行こうと予定していたが、弘人に急用が出来て、約束は延期になっていた。

その後もなかなか予定が合わなくて、その話自体も流れてしまったと瞳は思っていたので、忘れないで誘ってくれたことが嬉しかった。
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