対象外でも恋咲く
弘人は水晶玉とふくろうを交互に見て、占い師から告げられる言葉を待つ。

怪しさは歪めないが。

占い師は水晶玉を真剣に眺めて、何度も何度も撫でた。ここに何が映し出されるのだろうか?

実際は何も映ってないのでは?


「なるほど、なるほど。ほお、ほお……」


まるでふくろうが乗り移ったようにほおほお……と何度も言う占い師を弘人はただ見た。


「恋はね、身近なところにあるわよ」


「身近なところ?」


どこだろうと言われた言葉を復唱する。


「そうよ。あなたは今、どんなところにお勤めしているの?」


「えっ? あー、電機メーカーの営業部に勤めていて……」


「ほおほお。その営業部はさらに課で分けられているのかしら?」


「あー、俺はそこの営業1課で働いています」


「そう! そこよ!」


占い師が声を張り上げると同時にふくろうも「ホー」と鳴いたので、弘人は体をビクッと揺らした。


「そこ?」


「うん。その営業1課とやらには何人の女性がいるの?」


「えっと、7人かな」
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