対象外でも恋咲く
駅のロータリーでタクシーに乗り、瞳の住むマンションへ向かう。


「高畠さん、一人暮しですか?」


「うん、三年前から一人で住んでいるの」


マンションのエントランスまで弘人は瞳を送った。


「ありがとう」


「いえ。ゆっくり休んでくださいね。明日、もし具合が悪かったら休んでくださいよ。高畠さんの分、俺がやりますから」


「ううん、大丈夫だよ。小沢くんも忙しいのに」


瞳は弘人が帰ったら、顔の熱は下がると思っていた。具合は悪くないし、弘人を意識して顔が赤くなっているのは承知している。

なので、出来るだけ弘人には早く離れてほしかった。


「でも、ほんと具合が悪くなったらいつでも連絡くださいね。例えば夜中でもいいので」


弘人は本気で瞳を心配していた。残業して、疲れていただろうに、ラーメン屋だけでなくコーヒーショップにまで連れ回してしまったのがよくなかったのではないかと…。

それと、一人暮しの瞳が夜中に具合が悪くなったらどうするのだろうと考えると、さらに心配になる。
< 51 / 107 >

この作品をシェア

pagetop