対象外でも恋咲く
「ほんと大丈夫だから…送ってくれてありがとう」


「じゃ、おやすみなさい」


これ以上立った状態で話をするのも疲れさせてしまうと思い、弘人は待たせておいたタクシーに向かう。


が、タクシーの運転手にここまでの料金を払い、帰らせる。

そして、瞳のあとを急いで追った。

瞳はポストから郵便物を出し、その場で確認をしていた。弘人はまだ瞳がいたことに安堵し、声を掛ける。


「高畠さん」


「えっ? 小沢くん……何で? どうしたの?」


「やっぱり心配で…高畠さんの様子を少し見てから帰ろうかと思って」


「私の様子を少し見る? あの、それはどうやって?」


弘人の言葉に元に戻っていた瞳の顔色がまた赤くなる。


「あれ? また顔が赤くなって……えっ、俺といると具合が悪くなります?」


弘人が見当違いの返事をするから、瞳はどう答えていいか分からなくなっていた。

でも、ずっと誤解させたままでいては悪いし、変な心配をさせてもいけないと思い、真実を告げようと口を開く。
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