対象外でも恋咲く
喉仏フェチ……弘人は初めて聞くその言葉よりも男を感じたと言われたことに大きく動揺した。

自分を男として見て、意識した?

弘人の顔は徐々に赤みを帯びていく。


「えっ? 小沢くん?」


弘人の顔色に変化がハッキリと表れて、瞳も同じく動揺する。


「何ですか、男を感じるって……なんかグッときたんですけど」


弘人は右手の甲で口元を覆いながら照れたように言い、顔を背ける。


「いや、あの、特別深い意味はなくて……」


照れる弘人に瞳の心はギューッと締め付けられて、ちゃんと自分を見て欲しいと思い、腰を浮かせて、弘人のほうへ両手を伸ばす。


「ちょっ、高畠さん!」


瞳は背けられた顔を自分のほうへ向けるべく弘人の両頬を挟んだ。

突然の奇襲に弘人は慌てたが、瞳のほうに顔を向けられたため、真っ直ぐ見ることになる。おまけに腰を浮かせた瞳の顔も近い。


「あ、ごめん!」


瞳は自分で近付いたというのに、近すぎる距離に目を丸くして、手を離して、浮かせた腰を落とす。
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