対象外でも恋咲く
紗和は社内での弘人だけではなく、プライベートの弘人を知りたかった。


「これから?」


「はい。あ、もしかして、今日のお夕飯、決めてました? 用意してあるとか? だったら、無理に誘いませんが」


「いや、スーパーに寄って、惣菜でも買って帰ろうかと思っていたくらい…うん、いいよ。食べに行こう」


紗和は、恋心を認めたけど、顔の良い男を全面的に信用してはいけないという思いがまだあった。

だから、弘人の裏の顔もちゃんと知らなくてはいけない。騙されないためにも知ることが大事だと思っている。


二人は最寄り駅近くにある居酒屋に入って、テーブル席に向かい合って座る。


「最近はなんか菊池さんと縁がある感じがするね。今まで帰りにご飯食べるとかなかったものね」


「そうですね。機会がなかったというか…」


紗和は、イケメン嫌いで避けていたという本音は言えず、曖昧に返す。
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