対象外でも恋咲く
無難な答えに、やっぱり裏では何を考えているか分からないと思ってしまう。

何かもっと素の弘人を知れる質問をしなければ、弘人の内面まで知ることが出来ない……紗和は頬杖をついて、二人の間に置かれているサラダを眺める。

弘人がそのサラダを取り分けていた。


「私がもし、好きだと言ったらどうしますか? やっぱり同じように断ります? 今、好きな人はいるんですか?」


紗和は回りくどい質問をするのをやめた。芽生えた恋心はちゃんと自覚しているのだから、早くその恋の行方に決着をつけたいと思った。


「ちょっと、待って。そのもしという質問は本当にもしで考えればいいの? それなら、さっき答えたのと同じだよ」


「あー、ごめんなさい、間違えました。もしではなくて私、小沢さんが好きです。まだ彼と別れてそんなに日は経っていないけど、好きになるのに時間は関係なくて、本気の気持ちです。受け取ってもらえますか?」

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